子どもたちの「植林活動」が地域の環境意識を変える理由
私自身、
『子どもに環境問題を意識してもらうにはどうしたらいいんだろう?』
という問いに対して
「積極的に自然と関わってもらう」
というのが考えです。
ささやかではありますが、
週末に緑の多い公園にピクニックに行ったり、
海を眺めたり。
できるだけ、
「イベント!」というのではなく、日々の生活の中に自然と触れ合う時間を組み入れるよう努力しています。
できるコトをできるだけ。
子どもたちの「植林活動」が地域の環境意識を変える理由
地球が直面する大きな課題の一つが、森林の減少だ。国連食糧農業機関(FAO)の報告書によれば、1990年から2015年までの25年間で、南アフリカの国土面積に匹敵する1.29億ヘクタールの森が消滅した。大気中の二酸化炭素を吸収する森林が減ることは、気候変動だけでなく、生態系や我々の生活にも悪影響を与える。こうした危機に、ユニークな方法で立ち向かうプロジェクトがある。公益財団法人オイスカ(本部・東京都杉並区)が行う「『子供の森』計画」では、子どもたちが植林活動の主役。子どもたちの小さな手が地域社会を変えていく〝秘密〟とは――。
オイスカはアジア・太平洋地域を中心に活動する日本発祥のNGO。1991年にフィリピンから始まった「『子供の森』計画」は、27年目を迎える現在までに、36の国と地域で累計5000の学校が活動に加わってきた。
子どもたちを中心とした活動を始めたのはなぜだったのか。オイスカ海外事業部の諸江葉月さんはこう語る。
「オイスカは80年代からアジア・太平洋を中心とした各地で地域住民による植林活動に取り組んでいます。しかし、森林保全のプロジェクトは、地域の方々の理解を得るのが難しく、なかなか活動が定着しないという問題がありました。苗木はお金になるので、植えたそばから盗まれてしまうこともあったそうです。ところが、自分の子どもたちが苦労して植え、大切にしている苗木となると、大人たちも一緒に守っていく意識が芽生えてくる。草刈りの作業の日にお母さんたちが炊き出しに来てくれるなど、少しずつ、地域をあげて応援するムードが生まれてきています」
(中略)
また、森が育つと土地の保水力が上がり、土砂崩れなどの自然災害の被害をやわらげる効果もある。
「1年に1回しかお米がとれなかった田んぼが、近くに森が戻ってくることで水源が豊かになり、年に2回とれるようになった、という例も報告されています。活動開始から年月が経った今、多くの地域で大人たちもこうした森づくりの恩恵に気づき、活動に積極的になっていくなど、次第によい循環が生まれてきています」(諸江さん)
近年は「持続可能な社会づくり」に向けた環境教育のニーズも高まっているという。雨期の間に植林を行い、乾期には苗木の管理に加えて教育活動を行う機会も増えている。テーマは有機農業、ゴミの分別、リサイクル、生物多様性セミナーなど。教室での授業にとどまらず、実践しながら子どもたちに学んでもらっている。
こうした活動は、日本を中心とした個人支援者や企業などから集まった寄付金によって支えられている。オイスカが力を入れているのは、オイスカによる支援期間が終わった後も、地域の人々が自主的に森の管理を継続していけるよう地域に根差したサステナブルな活動へとつなげることだ
「樹木から種を採取してそこから苗木をつくる方法を教えるなど、新たに苗木を買わなくても自分たちで森を広げていけるように工夫しています。学校の先生たちに対する指導者養成セミナーにも力を入れています。活動を通して、先生や地域の人たちの中にも、ふるさとを自分たちで守っていこうという気持ちがはぐくまれ、各地で地域に根差した取り組みが広がっていくことが私たちの願いです」(諸江さん)
森を育てるだけでなく、人を育てる。地道な活動が、豊かな実りを生み出しつつある。
(The Asahi Shinbun GLOBE+ :https://globe.asahi.com/article/11562671 より )